残暑お見舞い申し上げます。
冷夏といえど、日中の日差しは「夏」そのもの。
紫外線対策に予断は禁物!とばかり、日やけ止めクリームの塗布に力が入ります。
しかし夕方近くなると日差しの力が衰え始め、
もう「秋」なんだということを感じさせてくれます。
昨年はせみのけたたましい鳴き声にヘキエキしていたのが、
今年はあまりうっとうしく感じられません。
これも「冷夏」のせいかしら?
先週ハーブ魔女の実家に帰った時、
道端にヘクソカズラを見つけました。
そういえば私がまた子どもだったころ、
通学途中のあちらこちらでよく見かけた植物です。
最近見かけないなぁ・・・
ヘクソカズラって知ってます?
こんな植物。開花後は金色の小さな実をつけます。
まだこの植物の「威力」を知らなかった頃、
手持ち無沙汰から葉っぱをちぎり、
後で後悔したことも。
葉っぱをちぎった指を鼻に近づけると
とても気持ち悪い臭いが・・・(>_<)
ごみというかおならみたいな・・・
あの頃は「げげっ」っと思っただけで、私の思考能力は停止しましたが、
ハーブを学んだ今は
これも植物の防衛機能なんだと理解できます。
考えてみれば「ヘクソカズラ」なんでヘンな名前ですよね。
植物図鑑等ではよく植物の名前をカタカナで書いてある場合が多く、
名前の由来がよくわからないことがあります。
でもよ~く調べてみると、
ヘクソカズラは「屁糞葛」と書くそうで・・・
ん~、確かに。あの臭いはそんな感じでした(>_<)
最近ではあまり見かけなくなりました。
ハーブ魔女の母曰く、
「昔はあの実をつぶして指にできたひびやあかぎれにこすりつけた」
らしい。
冬になると指先のひびに悩む私ですが、
さすがに「あの臭い」を思い出して使う気にはなれません。
その「臭い」の元は”メルカプタン”。
つまり硫黄です。
葉がちぎられたりして細胞が傷つくと、
細胞中に含まれる「ペデロシド」が分解されて
”メルカプタン”を発生させるしくみだそう。
ペデロシドとは硫黄化合物のこと。
スカンクの攻撃手段であるあの臭いの主要成分もメルカプタン。
「C4HgSH」。
体験したことはありませんが、ヘクソカズラのうん十倍、うん百倍と考えれば・・・
この臭いのワケはメディカルハーブでも学んだ
「忌避作用」物質の役割を担っているということなのでしょう。
それにしても強烈な防衛策と言わざるを得ない。
臭いが強烈だからといって天敵がいないワケではないらしく、
ヘクソカズラの化学防衛も、あるアブラムシには効果が無いらしい。
それがこのヘクソカズラヒゲナガアブラムシ。
画像が小さくてすみません。わかりにくいですよね。
葉っぱにくっついている濃いピンクというか赤色の虫です。
この虫は臭いの成分ペデロシドを分解することなく体内に蓄積させていて、
あぶらむしの天敵であるテントウムシも寄せ付けないらしい。
植物化学成分をちゃっかり自分の防衛手段に利用している賢い虫。
他に蛾や蝶にも好んでヘクソカズラにくっついて、
ペデロシドを選んで食べ、濃い原色を身にまとっているヤツがいるらしい。
植物の化学防衛はそのまま昆虫の化学防衛として活用されるんですね!
自然は凄い・・・
とうてい人間など太刀打ちできるものではありません。
そうなると、あのヘクソカズラは
あそこまでの臭いを放つ意味があるのでしょうか?・・・
せっかくかわいい花を咲かせるのに・・・
もう少し臭いを抑えれば鳥だって実をもっと食べてくれるでしょうに。
食べようとする虫から自分の身を守るヘクソカズラの性なのでしょうか?